経理・税金

欠損金の繰戻しによる還付制度ってどんな制度?

欠損金の繰戻しによる還付制度を知っていますか?
当期が赤字だったとき、前期に支払った法人税が還付されるというとても便利な制度で、利用すれば、資金繰りも助かります。
今回は欠損金の繰戻しによる還付制度のポイントを解説します。

欠損金の繰戻しによる還付制度とは?

青色申告をしている法人が赤字を計上したときは、その赤字は翌期以降に持ち越しをし、黒字が出たときに相殺することができます(欠損金の繰越控除制度)。

その逆で、青色申告をしている法人が黒字を計上して税金を払った翌期に、赤字となった場合には、前期に支払った法人税の全部または一部の還付を受けることができます。この制度のことを欠損金の繰戻しによる還付制度といいます。

 

あくまで前期に支払った法人税について、還付を受けることができるものです。前々期にたくさん法人税を支払っていたとしても、前期に法人税を支払っていなければ、前々期まで遡って還付を受ける、ということはできません。

なお、この制度は地方税(法人住民税・法人事業税)にはありません。
そのため、法人税の還付は受けることができますが、地方税については欠損金の繰越控除制度を利用し、将来、黒字が出たときに相殺することとなります。
これにより、法人税と地方税で、翌期以降に繰越しする欠損金が変わってくることとなるため、地方税の申告にあたっては、その調整をするための別表を追加する必要があります。

欠損金の繰戻しによる還付制度を適用できる法人は?適用要件は?

過去に支払った法人税が返ってくる、というとても便利な制度なのですが、現在、適用停止措置が講じられています。そのため、災害があった場合や解散をした場合などの特殊なケースを除いて、この制度を適用できるのは中小企業者等に限られています。

 

 

中小企業者等とは、次の法人のことをいいます。

資本金または出資金の額が1億円以下の法人
②資本または出資を有しない法人
ただし、大法人の100%子会社等は中小法人とはなりません。

なお、欠損金の繰戻しによる還付制度の適用を受けるためには、次の要件を満たすことが必要です。

①欠損金が生じた事業年度と前事業年度に青色申告をしていること
②欠損金が生じた事業年度は期限内に申告をしていること
③欠損金の繰戻しによる還付請求書を、欠損金が生じた事業年度の申告書に添付して提出していること

還付される金額はどうやって計算する?

欠損金の繰戻し還付により還付される金額は、次の計算式で計算します。

 

 

事例で見ていきましょう。

前年の所得が1,000万円 法人税額が234万円、当期の欠損が500万円のときの還付金額は次のようになります。

234万円 × 500万円 / 1,000万円 = 117万円(還付金額)

なお、還付される法人税額に応じて、地方法人税も自動で還付されます。

欠損金の繰戻し還付をすると税務調査が入る?

欠損金の繰戻しによる還付制度を利用すると税務調査が入る、と言われることがあります。
しかし、必ずしもそうではありません。
税務署が、税金を還付する際には、税務署内での決裁手続きを踏む必要がありますので、申告内容に誤りがないかを必ずチェックされます。ただし、申告内容に誤りや疑問がなければ、問題なく還付されますし、税務調査が入ることもありません。

欠損金の繰戻し還付を受けたときの仕訳はどうなる?

先ほどの事例をもとにして、欠損金の繰戻しによる還付制度を利用して還付を受けるときの仕訳を見ていきましょう。

①欠損金が生じた事業年度

 (未収入金 ※1) 234万円 /(法人税、住民税及び事業税 ※2) 234万円

※1 「未収還付法人税等」という勘定科目を用いることもあります。
※2 「法人税、住民税及び事業税」がマイナスとなるときは「還付法人税等」という勘定科目を用いることもあります。

②還付があった事業年度

  (普通預金) 234万円 / (未収入金) 234万円

 

まとめ

欠損金の繰戻しによる還付制度を解説しました。支払った税金が返ってくるとても便利な制度ですので、必ず知っておいてくださいね。