経理・税金

間接法でのキャッシュ・フロー計算書(営業CF)の作成方法

キャッシュ・フロー計算書は、会社の一会計期間の資金変動の状況を要因別に表す重要な財務諸表です。これを見れば、なぜお金が増えたのか、なぜお金が減ったのかがわかります。

このキャッシュ・フロー計算書は多くのケースで「間接法」と呼ばれる方法により作成されています。そのため、今回は、営業活動によるキャッシュ・フローの区分に焦点をあてて、間接法でのキャッシュ・フロー計算書の作成方法について解説します。

間接法とは?

キャッシュ・フロー計算書における「営業活動によるキャッシュ・フロー」の作成方法には、直接法と間接法の2つの方法があります。

このうち、間接法とは、損益計算書から必要な調整を行い営業活動によるキャッシュ・フローを表示する方法をいいます。税引前当期純利益からスタートして、減価償却費などキャッシュの変動を伴わない損益項目や資産負債の増減によるキャッシュの変動について調整を加えて作成します。実務的には間接法で作成するケースがほとんどです。

では、間接法で作成したキャッシュ・フロー計算書を見てみましょう。

間接法での営業活動によるキャッシュ・フローの作成方法

先ほど見たキャッシュ・フロー計算書で、営業活動によるキャッシュ・フローの区分に小計という欄があるのがわかりますか?

営業活動によるキャッシュ・フローによるキャッシュ・フローは、小計より上の欄で利息の受取・支払、税金の支払前の営業活動によるキャッシュ・フローを表示し、小計より下の欄でこれらを計上した後の営業活動によるキャッシュ・フローを表示するのがルールとなっています。作成方法も小計より上か下かで分けて、解説します。

1.「小計」欄よりも上の項目の作成方法

①投資活動にかかわる損益の調整

営業活動によるキャッシュ・フローは、その名の通り、営業活動から生じたキャッシュ・フローが表示されなければなりません。そのため、投資や財務活動の影響があれば、それを調整する必要があります。

次のような事例で考えるとわかりやすいでしょう。

(P/L)
営業利益     2,000
固定資産売却益   800
税引前当期純利益 2,800

間接法での営業活動によるキャッシュ・フローのスタートは、税引前当期純利益の2,800を用います。しかし、この2,800には、固定資産売却益(投資活動にかかわるもの)が800含まれているため、営業活動によるキャッシュ・フローを表すためにはその分の調整が必要となります。
その他に調整がなければ、営業活動によるキャッシュ・フローは次にようになります。

(C/F)
税引前当期純利益 2,800
固定資産売却益  △800
営業CF(小計) 2,000

売却損のときはキャッシュを加算する調整をいれます。
その他、投資有価証券売却損益なども同様に調整が必要となります。

②キャッシュに影響を与えない損益の調整

営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益からスタートします。
この税引前当期純利益には、減価償却費などのキャッシュの変動を伴わない損益(非資金損益項目といいます)が含まれているため、その影響を調整する必要があります。

次のような事例で考えるとわかりやすいでしょう。

(P/L)
税引前当期純利益 2,800(※販管費に減価償却費500が計上されている)

減価償却費500を計上した結果、税引前当期純利益が2,800となっていますが、減価償却費は支出を伴わない費用であるため、その影響を調整したものがキャッシュ・フローとなります。

(C/F)
税引前当期純利益 2,800
減価償却費     500
営業CF(小計) 3,300

なお、のれんの償却費や長期前払費用償却なども同様です。
また、貸倒引当金など引当金の増減もキャッシュの変動を伴わない損益なので、調整が必要です。

③資産負債の変動から生じるキャッシュの調整

損益計算書は発生基準で作成されているので、損益とキャッシュ・フローは異なります。

極端な話ですが、一会計期間で計上された売上代金(売掛金)がすべて未回収であったとします。そのとき、損益計算書では売上は計上されていますが、キャッシュ・フロー計算書においては売掛金の入金がゼロであったと表示されていなければなりません。

期首(前期末)の貸借対照表における売掛金残高と当期末の貸借対照表における売掛金残高との増減額を比較して、調整をすることとなります。

次のように考えるとよいでしょう。

前期末と比べて売掛金が減った→売掛金の入金があった→キャッシュは増加している
前期末と比べて買掛金が減った→買掛金の支払があった→キャッシュは減少している

売掛金が増えたとき、買掛金が増えたときは、上記とは逆に考えます。
その他、棚卸資産、未払金など営業活動にかかわる勘定科目については調整をする必要があります。

次のような事例で考えるとわかりやすいでしょう。

(P/L)
税引前当期純利益 2,800(期首 売掛金600、期末 売掛金900)

前期末と比べて売掛金が300増えています。
先ほどの考え方に当てはめると、キャッシュを減少させる調整が必要となりますね。
つまり、キャッシュ・フロー計算書は次のとおりとなります。

(C/F)
税引前当期純利益 2,800
売掛金の増減額  △300
営業CF(小計) 2,500

これらの調整を行うことで、「小計」欄よりも上が概ね完成します。

2.「小計」欄よりも下の項目の作成方法

続いて、「小計」欄よりも下を見ていきましょう。「小計」欄よりも下では、「利息の支払額」や「法人税等の支払額」を記載します。

①利息及び配当金の受取額

受取利息や支払利息をキャッシュ・フロー計算書上、どの区分に含めるかについては、2つの方法が認められています。

(第1法)
受取利息、受取配当金、支払利息⇒営業活動によるキャッシュ・フロー
支払配当金⇒財務活動によるキャッシュ・フロー

 

(第2法)
受取利息、支払利息⇒営業活動によるキャッシュ・フロー
受取配当金、支払配当金⇒財務活動によるキャッシュ・フロー

ただし、実務上は第1法によることがほとんどなので、第1法で作成する方法を説明します。

損益計算書に計上されている受取利息及び受取配当金は、発生主義で計上されています。
そのため、経過勘定項目(未収、前受)を調整して、実際のキャッシュ・フローに置き換える調整をしなければなりません。

次の事例で見ていきましょう。

(P/L)
受取利息      300(期首 未収利息0、期末 未収利息100)
税引前当期純利益 2,000

P/Lの営業外収益に受取利息300が計上されているものの、期末に未収利息が100残っているため(期首は0)、実際にキャッシュで受け取った利息は200になります。
そのため、キャッシュ・フロー計算書では、そうならないといけません。
なお、営業活動によるキャッシュ・フローは、小計欄より上と下で分かれていて、利息や税金に関するキャッシュ・フローは小計欄より下に表示しなければならない、というルールがあります。そのため、受取利息に関する調整は次のようになります。

(C/F)
税引前当期純利益     2,000
受取利息        △300
営業CF(小計)          1,700
利息及び配当金の受取額 200
営業CF             1,900

先ほど、『「小計」欄よりも上が概ね完成します。』と説明したのは、このためです。
なお、前受利息があるときはその調整も必要となります。

②利息の支払額

受取利息と考え方は同じです。
次の例で解説します。

(P/L)
支払利息      400(期首 未払利息0、期末 未払利息150)
税引前当期純利益 2,000

このときのキャッシュ・フロー計算書は次のとおりとなります。

(C/F)
税引前当期純利益 2,000
支払利息     400
営業CF(小計) 2,400
利息の支払額    250
営業CF     2,150

なお、前払利息があるときはその調整も必要となります。

③法人税等の支払額

税金の支払は営業活動によるキャッシュ・フローの区分に含まれます。
また、ここでの税金とは法人税、法人住民税、法人事業税等のことをいいますので、消費税や固定資産税などは含まれません。
考え方は受取利息や支払利息と同じですが、営業活動によるキャッシュ・フローが税引前当期純利益からスタートしているので、利息のように小計欄より上での調整の必要はなく、実際の支払額を差し引くのみで済みます。

実際の支払額は次のように計算することができます。

①法人税等(P/Lより)
②前期末未払法人税等(B/Sより)
③当期末未払法人税等(B/Sより)
④法人税等の支払額(C/F)

ただし、利益に連動しない外形標準課税(付加価値割、資本割)を支払ったとしても、法人税等の支払額(C/F)には含めません。外形標準課税の適用法人である場合は、②及び③には外形標準課税部分が含まれている場合があり、そのときはその分の調整をする必要があります。

実際の支払額は、総勘定元帳や前期及び当期の税務申告書(納税一覧表)などと整合性がとれているか確認するとよいでしょう。

キャッシュ・フロー精算表を作成する

これまで間接法を前提とした場合のキャッシュ・フロー計算書の作成にあたっての考え方を説明してきました。

間接法では、期首と期末の貸借対照表項目の増減をもとにしたキャッシュ・フローの調整が必要となりますが、貸借対照表項目も多くなり、一つ一つ考えながら進めるのは大変ですし、間違いのもとともなります。

そのため、実務では、「キャッシュ・フロー精算表」という表を使用して、キャッシュ・フロー計算書を完成させていきます。

キャッシュ・フロー精算表のイメージは次のようなものです。


このキャッシュ・フロー精算表は、通常、EXCELなどのスプレッドシートを利用して作成します。
すべてうまくいけば、B/S増減額と各列の縦計が0となり、現金及び預金(B/S)と現金及び現金同等物期末残高(C/F)が一致します。
逆に、0にななっていなかったり、一致していないときは、何かが間違っているということがわかる、とても優れたものなのです。

まとめ

間接法でのキャッシュ・フロー計算書(営業CF)の作成方法について解説しました。
しかし、考え方がわかったとしても、実際にうまく作成できるとは限りません。おそらく躓くこともあるのではないでしょうか。キャッシュ・フロー精算表を実際に作成し、実践してみましょう!